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逃げる太陽 ~俺は名無しの何でも屋!~

逃げる太陽 ~俺は名無しの何でも屋!~

一年で一番長い日 あらすじ1~167(2)

◇あらすじ その7 俺の呟き◇

てな、ことを俺が芙蓉や葵から聞いたのは、俺にとっての始まりの日の、あのホテルの一室だった。芙蓉扮する<女の死体>があったのと同じ部屋ではなかったけど。



そこで俺はさらに驚くべきことを知らされた。
なんと、この俺が何者かに狙われているというのだ!



何だよ、それ? 誰か知らんが、しがない何でも屋を狙ってどうするよ? 金なんか持ってないぞ、馬っ鹿じゃないのか。・・・そんな感じで俺は半信半疑だったが、葵がタイミング良く俺を自分たちの滞在する部屋に誘い込むことが出来たのは、彼らが俺を見守っていた、その成果なのだという。

で、なぜ俺が狙われることになったのかというと、死んだ弟の遺したもののせいらしい。遺したものとは、<ヘカテ>に関する捜査資料。

芙蓉の推理は、こうだ。

弟が死んだ後、<ヘカテ>組織関係者は捜査資料を探したが、どこにも見つけられなかった。そこで奴らは考えた。弟は生前、それを双子の兄である俺に預けたのではないかと。だから、捕まえて資料の在り処を吐かせるため、俺を拉致しようと隙を狙っている──。

げーっ! やめてくれ!
何、そのサスペンスな推理は。

だが、芙蓉と葵が俺を見守っているほんの数日の間にも、俺は危ない目に遭っていたという。全然気づかなかったが。

そして、芙蓉はもっとびっくりするようなことを言った。
俺には、<ガーディアン>がついていると。



実際、芙蓉と葵は目撃したらしい。俺に危険が迫った時、何者かが俺を守るような行動をするのを。

俺、鈍感?

だけどさ、背後で何が起こってるかなんて、普通いちいち考えないだろ? 大きな音や悲鳴が聞こえるならともかく。



◇あらすじ その8 俺の呟き◇

<風見鶏>っていうのは、ネットの海で偶然出会った知り合いだ。年齢性別住所不明。どこの誰とも知らないし、もちろん顔も分からない。ネットの海は、もしかしたら宇宙の海ほど広いのかもしれない。



なぜ<風見鶏>なのかというと、それが俺と彼とのチャット時のハンドルネームだからだ。ちなみに、俺は<風>。



<風見鶏>は情報屋というのかな、とにかく膨大な量の情報を集めている。本人が言うには、<ウォッチャー>というものらしい。

こちらからコンタクトを取ろうとすると色々面倒な手順を踏まないといけないのに、あっちはいとも簡単に俺に連絡を取ってくる。で、俺に情報提供を求めるんだ。「今探している猫の柄は?」「昨日散歩を頼まれた犬の名前は?」「三丁目の田中さんちの九官鳥のキューちゃんは何歳?」・・・



正直言って、何の役に立つのか分からない。が、彼が言うには、俺はかなり優秀な情報提供者らしいんだ。大した“情報”でもないと思うんだけどな。

俺の日常に関係がないので、これまで特に彼に連絡を取ることはなかった。が、今回、俺しか見てない女の死体事件やら、不気味な<笑い仮面>やら、その<笑い仮面>に依頼された人探しの件やらで参ってしまい、初めて彼に頼みごとをし、彼は協力してくれると言った。

結局は探していた葵本人が俺の前に現れて、あとは怒涛のように真実を知らされたわけなんだが。

 


俺がすっかり<風見鶏>に頼みごとをしたことを忘れている間に、彼はどういう方法でか俺と双子+夏樹の危険を察知したらしい。滅多にないことに、俺の携帯に直接電話をしてきた。いつもはメールか、それともチャットでしか話したことはなかったのに。それほど緊迫した事態だったのか。

初めて聞いた<風見鶏>の声は、えらく艶っぽいベルベット・ヴォイスだった。よければ第113話を読んでくれ。<風見鶏>の性格の悪さが分かると思う。とにかく、彼は俺たちに指示してきた。今すぐそのスィートルームを出て、彼が別に用意したセミスィートに行くようにと。



それから。
全員変装してこのホテルから逃げるように言われたんだが。

なんと恐ろしいことに、この俺が! 女装させられる羽目になったんだよ。何考えてるんだ<風見鶏>。

芙蓉がノリノリでメイクやら何やらしてくれて・・・ 俺は脛毛まで剃られたんだぜ!

え? 俺の女装はどんなんだったって? 第124話以降を読んでくれ。特に、第137話を読むと俺の心情が分かってもらえると思う・・・『うらみ・ます』



◇あらすじ その9 俺の呟き◇

変装の内訳。

俺→女装
芙蓉→女装から男装へ
葵→男装
夏樹→女装

夏樹はまだ五歳だから、男の子・女の子どっちの服を着ようと見た目違和感ないけど、芙蓉&葵よりオジサンの俺の女装は違和感ありまくりだと思わないか? けどな・・・芙蓉の女装テクは凄かったよ。伊達に普段から女の格好してないよな。女装バーのマスター(ママか?)でもあるわけだし。

鏡の前に美女出現。ちなみに、年末に元妻と元義弟に無理やり女装させられたが、その時の俺はただのでっかいオカマにしか見えなかった。芙蓉、恐るべし。



変装だけしても、仕草に違和感があると悪目立ちする。かわいらしいワンピースで美幼女(?)と化した夏樹はともかく、見た目美女な俺がいつも通りの歩き方で歩いたら・・・分かるだろ? オカマ決定だ。スケバン・キャラでも桜塚やっくんの方がずっと女らしいかもしれない。



ということで、俺は足が攣りそうなハイヒールを履かされた。「体調がすぐれずに夫に支えられて歩く妻」を演出するためだ。そう。夫役が芙蓉。妻役が俺。げー。こんな姿、絶対ののかに見せられない。

芙蓉は憎たらしいことにフェロモン系イケメンに変身。その芙蓉の腕につかまってずっと下を向いてたけど、恥ずかしくて前を向けるかっ! ての。 第138話参照

夫婦(?)の娘役となった夏樹は、久しぶりにパパな姿になった芙蓉と女装の俺の間でうれしそうにパパ、ママ、ってはしゃいでたけどな。母親の夏子さんが亡くなった時、この子はまだたった二歳だったもんなぁ・・・

葵は葵で良家のお坊ちゃま風変装(カラコン+簡単ヘアカラーで一見欧米人とのハーフ。こいつら彫りの深い顔してるから全然違和感無し)で他人のふり。俺たちは一旦レストラン・フロアに上がってから、エレベーターで一階まで降りた。

無事に降りられたのはいいんだが、レストラン・フロアで<笑い仮面>こと高山父とすれ違うことになったのは冷や汗ものだった。<笑い仮面>、自分の息子たちに気づいたろうか。

不気味だ。

それから俺たちは何とかエントランスから出て、タクシーに乗ろうとしたんだが・・・

乗り込んだタクシーの反対側の扉から、夏樹が攫われたんだ! 第144話参照



◇あらすじ その10 俺の呟き◇

俺はまだ少し開いたままだったドアを蹴り開けたさ! そして、そこから飛び出した。

背の高い男が、桜色のワンピース姿の夏樹を抱えて走っていく。俺はもう自分がどんな格好をしているかなんて考えている暇は無かった。ハイヒールを蹴り捨て、なりふり構わず男を追いかける。



俺の娘のののかと同い年の夏樹。まだあんなに小さいのに、やさしい思いやりの心を知っている夏樹。

攫われてたまるもんか!

男を追って、走った走った。走って走って、走った先でいきなり立ち止まった男は・・・なんと、元義弟の智晴だった。

 


まさか、智晴は<ヘカテ>組織の手の者だった? それとも<笑い仮面>関係者? 俺の頭は真っ白になったが、智晴はある意味もっとショッキングなことを言った。

なんと、智晴も俺と同じく<風見鶏>のネット友だち(?)なのだという。

<風見鶏>は智晴に対しては別のハンドルネームを使っている。会話の内容も多分俺とは全然関係ないだろう。智晴にしてみれば、自分のネット友だちが元義兄の俺と知り合いだったとは想像の範囲外だったに違いない。いや、俺だって<風見鶏>が智晴とも知り合いだったなんて考えたこともなかったけどさ。

今回智晴が現れたのは、ネット友だちの彼からいきなり俺とそのおまけ(智晴からすれば)の危機を知らされ、すぐに助けに行くよう頼まれたからだというのだ。



なぜ夏樹を攫って逃げたかというと、俺たちが絶対すぐにタクシーから飛び降りて後を追いかけてくるはずだと計算したかららしい。・・・俺たちの乗り込もうとしていたタクシーは、実は何者かの罠だったのだ。乱暴なやり方だったが、説明するには時間が無さすぎた、とは智晴の言だ。

まさに危機一髪。知らずにあのまま乗っていたら、俺たちは今頃はいずことも知れない場所に連れて行かれ、どうなっていたか・・・ ダミー・タクシーについての情報が<風見鶏>の元に入ったのがまさにぎりぎりのタイミングだったんだろう。その段階で全員誘拐を阻止するには、彼の手駒(他にもいっぱいいるんだろうなぁ、俺や智晴みたいな<ネット友だち>)の中で智晴が一番向いていたということなんだろうな。

ありがとう、<風見鶏>。ありがとう智晴。
気づいたら足が傷だらけで歩けないほど痛くても、夏樹が無事だったから、いい。



智晴におんぶされる羽目になったけど、そんなことはどうでもいいや。

<風見鶏>の手配してくれた別ホテルの部屋で、芙蓉&葵に合流できた時はホッとした。

そして、今。双子と智晴が俺の目の前で火花を散らしている。

智晴は<白いドレスの女の死体>が双子の仕業だと悟ったらしく、こいつらのせいで元義兄の俺が危ないことに巻き込まれたと怒っている。

「義兄は人が良すぎる。それがこの人のいいところだ。だけど、そこに付け込んで利用するのは、僕と僕の姉が許さない!」


・・・とまあ、第1話から第167までのあらすじは、こんなとこでどうよ?

一年で一番長い日・あらすじ 完




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